出産体験記 その2「水中出産」
助産院で言われたことは「とにかく歩きなさい」でした。流産の心配もない健康な妊婦なら、
安定期に入ってからはとにかくたくさん歩いた方が良い。
なのでせっせと歩きました。特に7ヶ月を過ぎたあたりから、「これが妊婦か」と思うほど、がしがし歩いてましたっけ。
それと、助産院では妊娠中から自分のお産をどのようにしたいかよく考えるということを教えられました。お産の計画書のような
ものを書かされるのです。計画書と言っても何か決まりがあるわけではなく、妊婦さんが思うがまま色々書いて良いのです。例えば、
出産の間好きな音楽を流しておきたいとか、アロマテラピーをやりながら出産したいとか、生まれたらすぐに赤ちゃんに「生まれてきて
くれてありがとう」と言いますとか・・・。これはとても大事なことで、妊婦さんに「これは私のお産なんだ、産ませてもらうんじゃなくて、
私が自分で産むんだ」という意識がしっかりとできて来るのです。だからと言ってお産が計画書通りに進むとは限りません。むしろ
計画通りには行かないのがお産でしょう。私の場合も考えていたことの半分もできませんでした。
陣痛が始まったのが夜中の12時ころ。過去2回のお産を考えると夜が明けてから助産院に行っても充分間に合うと思いましたが、
一応早めに行っておくか、と思い助産院へ。それでものろのろしていたので着いたのは2時くらいでした。その時子宮口は6センチくらい
開いていました。助産婦さんも「まだまだかかるでしょうから、ちょっと階段でも登ってみる?」と言います。そうです。陣痛が来たら
寝ていてはダメなんですね。動いた方がお産が進むし、寝ていたらいつまでかかるかわかりません。あ〜あ、こんなに痛いのに階段登る
なんてヤダな〜。ちょっとトイレに行ってから登ります、と言ってトイレに。
トイレに座ってしばらくボーっとしてました。居心地の良いトイレでしたし「あー階段やだー」って思いながら15分くらい入っていたでしょうか?
助産婦さんが心配して中をのぞきに来ました。「ちょっと見ますね、いい?」と言って私の股をのぞき、「もうすぐかも知れない。お湯に
入りましょう」と言うではありませんか。
トイレから出て行くと、すでにバスタブにお湯がはられています。本当はもっと大きい簡易プールにお湯を入れて、夫婦で一緒に入り、
陣痛の痛みを二人でリラックスして和らげながら出産するはずでした。それが水中出産というものでしょ?でもそんな暇はありません
でした。お湯につかると、陣痛はもうどんどん強くなり、あっという間(午前3時過ぎ)に赤ちゃんは出てきてしまったのです。2450gの
小さな赤ちゃんでした。
あとで夫に聞いたところによると、私がトイレに消えて何分か経ったところで助産婦さんがピンと来たらしく、「ご主人、水着に着替えてください。
プールにお湯を入れます」と言ったのだそうです。え、さっきまだまだかかるって言ってたのになんで?と思いつつも夫は着替えに。
ところが水着に着替えて出てくると、プールではなくお風呂のバスタブにお湯が入れられ、そこにトイレから出てきた私が入っていて、
助産婦さんは「ご主人、こっちこっち、もう生まれますよ。ほら、頭が見えてる」と叫んでいたのだそうです。見ると、股の間から赤ちゃんの
頭が・・・。気持ち悪かった。独りで水着を着てバスタブの横に立っていて恥ずかしかった。というのが正直な感想だったそうです(笑)。
お湯の中で産むのはとてもラクでした。暖かいお湯の中に入ったとたんに痛みが和らいでいく感じで「気持ちいいー」と思いました。
とても早くお産が進んだので苦しい時間も短く、お湯の中で出てきた赤ちゃんを抱っこしてすぐにおっぱいをあげ、「ありがとう。よろしくね」と
挨拶することもできました。そのあと夫にへその緒を切ってもらい(初めて見たけどけっこう固くてホースみたいだった)、ベッドで3人で朝まで
横になりました。
午前中は軽く体操などもして、午後には夫と2人で助産院の近所を散歩したりもしました。そして翌日の朝には自宅に戻りました。
なんと出産5日目には私はすでに自転車に乗って買い物をしていました。前回2回のお産では考えられなかったことです。
完全母乳で育て、一応買っておいたヌークの可愛らしい哺乳瓶は全く出番がありませんでした。その後子供は元気に育ち、4歳になった
ある日、生まれた助産院を訪れてみました。「ここで生まれたんだよ〜。ほらほらあのお風呂だよ〜」って。子供もなんか懐かしいような不思議な
気持ちがしたのではないでしょうか。
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